「千葉一族の誕生」 千葉一族盛衰記第二十四話 【稲毛新聞2025年5月号】
作/歴史噺家 けやき家こもん

千葉市は、毎年6月1日を「千葉開府の日」と定めて、「千葉一族からの学びを活かし」、様々な事業を展開しています。
この事業の「基本理念」のうち、冒頭に書かれている二つを紹介しましょう。
・本市の開祖である千葉一族の軌跡を改めて振り返り、得られた学びを共有します。
・千葉一族の「未来を切り拓くチャレンジスピリット」を受け継ぎ、市民とまちのより豊かな未来の実現に向けた取組みを行います。
読者の皆さまは、千葉一族の血脈が宿す高望流のチャレンジスピリットについては、よくご存じのことと思います。では、なぜ6月1日が「千葉開府の日」なのでしょうか?
本拠地を亥鼻へ
千葉常胤の父である常重は1126年(大治元年)、それまで居を構えていた大椎(現在の千葉市緑区大椎)から、本拠地を亥鼻の地に移しました。以前に紹介した「千葉一族の歴史」という書籍によると、常重が移り住んだ地は、現在の千葉地方裁判所の付近であったとされています。それまで大椎常重(おおじつねしげ)であった常重が、千葉と呼称される地である亥鼻付近に移り住んだことで、初めて「千葉介(ちばのすけ)」を称すことになったのが、1126年6月1日と考えられます。この故事にちなんで、6月1日が「千葉開府の日」となったわけです。
今年は2025年ですから、翌年の2026年6月1日は千葉開府900年記念の日に当たります。千葉市では、この日に向けて多くの魅力的な事業を準備しております。インターネットで「千葉開府900年記念」と検索し、千葉市の広報を是非ご覧ください。
千葉常重による相馬私領の寄進
千葉常重は、亥鼻の地に居を構えた4年後の1130年(大治5年)、相馬郡のうち布施郷(現在の柏市)を、伊勢内宮(ないくう)に寄進しました。伊勢神宮では、神饌(神様にお供えする食べ物)を調達するための領地を「御厨(みくりや)」と呼ぶため、この寄進の完了をもって「相馬御厨」が発生したことになります。
【著者プロフィール】
歴史噺家 けやき家こもん
昭和46年佐倉市生まれ。郷土史や伝説をわかりやすく、楽しく伝える目的で、落語調で歴史を語る「歴史噺家」として活動。著書に「佐倉市域の歴史と伝説」がある。