海を守ることは、地域の未来を守ること

  2026/2/22
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6年続く海洋ごみ回収 銚子から考える海洋資源と経済循環
 銚子市長崎町の海岸で2月22日、一般社団法人Ocean Life Community14⁡(代表理事:宮内幸雄さん)⁡による海洋ごみ回収活動が行われた。当日は強風のため、船を出しての海上回収は見送り、海岸清掃のみの実施となった。
 
 この活動は約6年前から毎月1回継続、今回は13人が参加。銚子市や旭市のほか、岩手県、愛知県、東京都など県外からの参加者も目立った。3連休を利用して銚子を訪れ、SNSやアニメ「アマガミ」などをきっかけに活動を知り参加した人も。
 
 観光で訪れた岩手県の参加者は「地元の居酒屋で地域の人と交流できた」と話す。海岸清掃をきっかけに地域と接点を持つ——その動きは、単なるボランティアにとどまらない広がりを見せている。

利根川流域とつながる海

 宮内代表は「海岸のごみの7〜8割は陸上由来といわれている」と説明する。銚子は利根川の河口に位置し、流域は群馬県まで広がる。上流から流れ着いたごみが海に漂着する構造だ。

 つまり、銚子の海岸にあるごみは銚子だけの問題ではない。流域全体の暮らしと経済活動の結果が、最終地点として海に集まる。

 多く回収されるのはペットボトルやロープ類、漁具など。砂浜を50センチ四方でふるいにかけると、5ミリ以下のマイクロプラスチックも大量に見つかるという。目に見えないレベルで、海は影響を受けている。

海洋生物と観光資源

 銚子の沿岸には夏場、イルカが現れることもある。代表はホエールウォッチングの仕事に携わる中で、クジラがロープに絡まる姿を目撃したことが活動の原点だという。

 「海の生き物が影響を受けている現実を知り、できることから始めようと思った」と振り返る。

 銚子の海は、漁業資源であると同時に観光資源でもある。イルカやクジラが訪れる海、豊かな漁場、夏の海水浴場。海洋ごみ問題は、それらの価値を静かに蝕んでいく。

海洋資源と地域経済の接点

 日本は海洋プラスチック排出量では上位ではないが、1人当たりのペットボトル使用量は多いとされる。リサイクルが進んでいると言われる一方で、「実際どこまで再生されているのかは課題」と宮内代表は指摘する。

 海を守ることは、環境問題の枠を超え、地域経済の持続性に直結する。

 もし海が汚れれば、漁獲量への影響や、観光イメージの低下、生態系バランスの崩れといった形で、地域産業にも波及する可能性がある。

 一方で、こうした活動が外部から人を呼び込む入口にもなっている。今回の参加者のように、観光やアニメをきっかけに訪れた人が地域活動に参加し、地元で飲食や宿泊をする。環境活動が新たな関係人口を生む可能性も見えている。

「知る」ことが第一歩

 同団体は法人化から約5年。現在も毎月第4日曜日を基本に活動を続ける。「まずは海の現状を知ってもらうことが大切。ビーチクリーンや再生の仕組みも、地域と一緒に考えていきたい」と呼びかける。

 海は、銚子にとって最大の資源の一つだ。その価値を次世代へ引き継ぐために、静かな取り組みが続いている。
 銚子の海は、漁業や観光を支えるかけがえのない地域資源だ。その価値を守るのは、特別な誰かではなく、地域に暮らす一人ひとりの小さな行動から始まる。
 
 宮内代表は「まずは銚子の皆さんに現状を知ってもらい、気軽に参加してほしい」と呼びかける。地元の人が関わることで、海を守る活動は“外から来るイベント”ではなく、“地域の文化”へと育っていく。次の世代へ豊かな海を引き継ぐために、月に一度の海岸清掃が静かに仲間を待っている。
銚子経済新聞編集部準備室
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銚子経済新聞を準備するための編集部が取材してきた銚子市を中心としたローカルニュースを配信していきます。
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